頭がごちゃごちゃする夜に読む“思考の掃除”のやり方

頭がごちゃごちゃする夜に読む“思考の掃除”のやり方

真夜中の2時、あなたは天井のシミを数えながら、絶賛開催中の「ひとり脳内反省会」に参加していませんか?

「今日の会議、あんなこと言わなきゃよかったな…」
「明日のプレゼン、うまくいくかな…」
「ていうか、なんで私っていつもこうなんだろう…」

次から次へと議題が提出され、気づけば頭の中は満員電車もびっくりの大渋滞。🚗💨
ベッドに入ったはずなのに、脳だけがフルマラソンを走っているような感覚。

その気持ち、よーーく分かります。

かつて広告代理店で言葉をこねくり回していた私も、毎晩のように思考の迷路に迷い込むプロでした。

でも、大丈夫。
今日、この記事を読み終える頃には、そのごちゃごちゃを「楽しい遊び道具」に変える“思考の掃除術”があなたのものになっています。

こんにちは!
“考えることを、もっと遊ぼう”をテーマに、思考×創造性メディア「PlayThink」を運営している佐伯茉莉奈です。

今回は、頭がごちゃごちゃして眠れない夜に、そっと試してほしい思考の片付け方をご紹介しますね。

なぜ、あなたの頭は夜中に渋滞するのか?ごちゃごちゃの意外な正体

そもそも、どうして静かな夜になると、思考の暴走スイッチがオンになってしまうんでしょうか。
それは決して、あなたの意志が弱いからではありません。
脳の仕組みに、ちゃんとした理由があるんです。

静かな夜に暴れだす「脳のおしゃべり機能」

私たちの脳には、ぼーっとしている時にこそ活発になる「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という機能があります。
いわば、“脳内のおしゃべり屋さん”みたいなもの。

日中は目の前の仕事や会話に集中しているので大人しいのですが、夜、ひとりになって外部からの刺激がなくなると、このおしゃべり屋さんが元気いっぱいになってしまうんです。
過去の記憶を整理したり、未来の計画を立てたりしてくれる便利な機能でもあるのですが、暴走すると過去の失敗や未来の不安を何度も繰り返し再生する、やっかいな存在に変わります。

心に引っかかったままの「やり残しリスト」の呪い

「あ、あれもやらなきゃ」「これも途中だった」
こんなふうに、やり残したことが頭に浮かんできませんか?

これには「ツァイガルニク効果」という心理学的な名前がついています。
人は、完了したことよりも、未完了のことや中断したことのほうを強く記憶してしまう性質があるんです。
日中、忙しさの中で後回しにしたタスクたちが、夜になって「ねぇ、忘れてない?」と主張してくる。
これが、ごちゃごちゃの正体のひとつです。

「ちゃんと考えなきゃ」が生み出す思考の悪循環

そして一番やっかいなのが、「なんとかしなきゃ」という真面目さ。
ごちゃごちゃを解決しようとすればするほど、脳はさらに活性化し、思考の沼に深くハマっていきます。
「考える」ことが、いつの間にか自分を追い詰めるムチになってしまうんですね。
これはもう、悪循環以外の何物でもありません。

まずは、全部出す!思考のガラクタお片付けファーストステップ

では、どうすればこの思考の交通渋滞から抜け出せるのか?
答えはシンプル。
まずは、頭の中にあるものを全部、外に出してあげること。

部屋の掃除をするとき、最初に全部のモノを床に出しますよね。
それとまったく同じです。

用意するのは「紙」と「ペン」だけ

高価なツールは必要ありません。
手元にあるノートや裏紙、なんでもいいので一枚の「紙」と、書きやすい「ペン」を用意してください。
もちろん、スマホのメモ機能でもOKですが、手を動かして“書く”という行為が、不思議と心を落ち着かせてくれるので、紙とペンがおすすめです。

ルールはたった1つ「判断しないこと」

さあ、準備はいいですか?
ここからのルールは、本当にたったひとつだけ。
頭に浮かんだことを、一切ジャッジせず、ただひたすら書き出すこと。

「こんなこと書いても意味ないかな?」
「なんてくだらない悩みなんだ…」

そんな“思考のツッコミ役”は、今夜だけお休みしてもらいましょう。
仕事の不安、人間関係の悩み、明日の晩ごはんのメニュー、ふと思い出した昔の思い出、なんでも構いません。
脈絡がなくても、支離滅裂でも大丈夫。
脳という部屋に散らかったガラクタを、ぜんぶ紙の上に並べていくイメージです。

私が“完璧な企画書”の呪いから解放された夜の話

昔、コピーライターだった頃の私は、完璧な企画を追い求めるあまり、チームを疲れさせてしまったことがありました。
「正しさ」という名の檻に自分を閉じ込めていたんですね。

その日の夜も、ベッドの中で「もっと良い案があったはずだ」「なぜあの時…」と、ひとり反省会が止まりませんでした。
どうにも眠れず、藁にもすがる思いで、めちゃくちゃな思考をノートに書きなぐってみたんです。

「企画がダメだった」「もう信頼されない」「ていうかお腹すいた」「明日の朝、ゴミ出しじゃん」「そもそも面白いってなんだよ!」

驚きました。
書き出してみると、深刻な悩みと「お腹すいた」が同列に並んでいるんです。
その瞬間、ふっと笑いがこみ上げてきて、「ああ、私、こんなことで悩んでたのか」と、肩の力が抜けました。
思考を外から眺めるだけで、こんなにも世界は変わって見えるんだ。
これが、私の“思考の掃除”の原体験です。

ごちゃごちゃを仕分ける「3つの魔法の箱」

さて、紙の上に思考のガラクタをぜんぶ出せましたか?
眺めてみると、いろんなものが混ざっているはずです。
次のステップは、それを仕分けていく作業。
ここに、3つの「魔法の箱」を用意しました。📦✨

箱①:すぐやっつけられる「今日の冒険リスト」

書き出したことの中に、「明日、〇〇さんにメールする」「ゴミを出す」といった、具体的なタスクはありませんか?
それは、この「今日の冒険リスト」という箱に入れましょう。

ポイントは「タスク」ではなく「冒険」と呼ぶこと。
「メールを送る」という作業も、「〇〇さんを笑顔にする呪文(メール)を送る」と考えれば、ちょっとした冒険に変わりませんか?
明日やるべきことが明確になるだけで、脳は安心してくれます。

箱②:未来の自分にパスする「育てるアイデア箱」

「いつかこんなことをしてみたい」「この企画、もっと面白くできそう」
そんな、すぐには答えが出ないけれど、なんだかワクワクするような言葉たち。
それは「育てるアイデア箱」へ。

これは、未来の自分へのプレゼントです。
今すぐ結論を出す必要はありません。
「あとはよろしく!」と、未来の自分に軽やかにパスしてしまいましょう。
この“保留する”という選択肢を持つだけで、心はぐっと軽くなります。

箱③:笑って手放す「考えても仕方ないこと供養箱」

「あの時、あんなこと言わなければ…」
「他人は私のことをどう思っているんだろう?」

過去の後悔や、自分ではコントロールできない他人からの評価。
これらは、いちばん厄介なごちゃごちゃの原因です。
でも、大丈夫。この箱に入れれば、きれいに手放せます。

それが「考えても仕方ないこと供養箱」。
「今まで私の頭を占領してくれてありがとう。安らかに眠れ…」と心の中で呟きながら、この箱にポイっと捨ててしまいましょう。
ちょっとふざけてみるのがコツです。笑いが、悩みの呪いを解いてくれます。😂

「悩み」を「遊び」に変える、とっておきの思考実験

さあ、ここまでで頭の中はずいぶんスッキリしたはず。
最後の仕上げに、まだ心に引っかかっている手ごわい悩みを「遊び」に変えてしまう、とっておきの思考実験をいくつかご紹介します。

もしも、この悩みがRPGのクエストだったら?

あなたの悩みを、ゲームのクエストだと思って設定を書き換えてみましょう。
「気難しい〇〇部長を攻略せよ!」
「恐怖のプレゼン山脈を越えろ!」
そう考えた瞬間、倒すべきラスボスだった悩みが、ちょっと愛嬌のあるキャラクターに見えてきませんか?

最悪のシナリオを、あえてコメディ映画にしてみる

もし、この悩みが最悪の結果になったら…?
それを、とことん馬鹿馬鹿しいコメディ映画のあらすじにしてみるんです。
「プレゼンで大失敗!マイクで歌い出し、聴衆はなぜかスタンディングオベーション!」
みたいに。
笑ってしまうくらい大げさに描くことで、「なーんだ、大したことないじゃん」と思えるようになります。

ごちゃごちゃに可愛いあだ名をつけてみる

あなたの頭を悩ませる思考に、可愛いあだ名をつけてみましょう。
たとえば、「また出てきたね、心配性のごまちゃん」とか。
敵だと思っていた思考を、名前を呼んであげられる存在に変えてみる。
すると、不思議と距離ができて、冷静に対処できるようになるんです。

このように、ちょっと視点をズラすだけで、悩みは最高の遊び道具に変わります。
もっとたくさんの“視点を変える問い”に触れて、凝り固まった思考を解放したいなら、科学や哲学といった様々な角度から思考を解きほぐすヒントが詰まった『すぐ動けない人のための 思考を放つ100項』のような本を読んでみるのも、次の一歩を踏み出す素晴らしいきっかけになりますよ。

まとめ

さて、「思考の掃除」、お疲れ様でした!
頭の中を埋め尽くしていた、もやもやとした霧は少し晴れたでしょうか。

最後に、今日お伝えしたことを簡単におさらいしますね。

  1. まずは、全部出す!:判断せず、頭の中の思考をすべて紙に書き出す。
  2. 3つの箱に仕分ける:「冒険リスト」「アイデア箱」「供養箱」に分類して、思考を整理する。
  3. 悩みと遊んでみる:「もしも〜だったら?」と視点を変えて、悩みを遊び道具に変えてみる。

考えることは、決して苦しいだけの行為ではありません。
あなたの頭の中は、誰にも邪魔されない、無限の可能性を秘めた“遊び場”なんです。

もしまた夜中に思考の渋滞が始まったら、思い出してください。
「間違ってもいいから、まず遊んでみよう。」

そして、こう呟いてみてください。
「考えすぎたら、笑えばいい。」

思考は、真面目な顔をしているときより、笑いながらのほうがずっと速く、遠くまで飛んでいけるんですから。

今夜、あなたがぐっすり眠れることを、心から願っています。

Last Updated on 2025年11月4日 by pt2mob